ものづくり補助金で設備を買いたい。でも、自分が買おうとしているものが本当に補助の対象になるのかどうか、これが意外と分かりにくいんですよね。
ここでちょっとクイズです。ノートPC、社用車、店舗の内装工事。この中で対象になるものはいくつあるでしょう?
答えはゼロ。全部対象外です。ノートPCは汎用性が高いからダメ。車両も原則ダメ。内装工事はものづくり補助金では建物費にあたるのでダメ。……ちょっと残念ですよね。
ものづくり補助金の制度全体についてはこちらをご覧ください。
「機械を買うための補助金でしょ?」——それ自体は合っています。ただ、何でも買えるわけではなくて、対象になる経費には明確なルールがあります。ここを知らずに計画を組んでしまうと、申請の段階で「この経費は認められません」と突き返されることになります。
この記事では、対象になる9種類の経費と、「対象だと思っていたのに対象外だった」というよくあるパターンを整理します。最後に、自分のケースが対象かどうかを5分で確認できる方法も紹介しますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
対象経費9種類——具体例で見る
ものづくり補助金で認められる経費は9種類です。このうち機械装置・システム構築費は必須で、最低1つは計上する必要があります。順番に見ていきましょう。
1. 機械装置・システム構築費(必須)
一番よく使われる経費区分です。製造業なら加工機械やロボット、サービス業なら業務システムの開発、飲食業なら厨房設備……という感じで、業種を問わず幅広い設備が該当します。
具体例を挙げるとこんな感じです。
- 製造業:CNC旋盤、レーザー加工機、3Dプリンター
- IT・サービス業:受発注管理システムの開発、クラウドサービスの構築
- 食品加工業:真空包装機、急速冷凍機
- 印刷業:デジタル印刷機、製本機
ポイントは「補助事業のためにしか使わない設備であること」。他の業務にも使い回せるような汎用的な機器は対象外になります。これ、後でもう少し詳しく触れます。
2. 技術導入費
特許権やノウハウの使用許諾(ライセンス)に支払う費用です。他社が持っている技術を導入して新製品を開発する、みたいなケースですね。使う頻度はそこまで多くないですが、該当する場合は忘れずに。
3. 専門家経費
補助事業を進めるために必要な専門家への謝金・旅費です。技術指導を受ける外部エンジニアとか、品質管理のコンサルタントとかが該当します。
ここで注意なんですが、補助金の申請を手伝ったコンサルへの報酬は対象外です。あくまで「補助事業そのものの遂行」に必要な専門家の費用だけ。ここ、たまに混同される方がいます。
4. 運搬費
機械設備の運搬にかかる費用。大型設備を工場に搬入するときの運送費なんかが該当します。金額的には大きくなりにくいですが、忘れがちな項目です。
5. クラウドサービス利用費
補助事業で使うクラウドサービスの利用料です。サーバー費用やSaaSの月額利用料が該当します。ただし、補助事業の期間内の利用料だけが対象。事業が終わった後も使い続ける分は自己負担です。
6. 原材料費
試作品の開発や試験に必要な原材料の購入費です。量産用の材料ではなくて、あくまで開発・テスト用途に限られます。「試作に必要な量」を超えた分は認められないので、ここは計画段階で数量の根拠をしっかり詰めておく必要があります。
7. 外注費
自社で対応できない加工・設計・検査などの外部委託費用。「自社でできないこと」がポイントで、自社でもできる作業をわざわざ外注した場合は認められない可能性があります。
8. 知的財産権等関連経費
補助事業の成果として生まれた発明の特許取得費用とか、弁理士への報酬が該当します。既存の特許の維持費用は対象外。あくまで「この補助事業で新しく生まれたもの」に関する費用です。
9. 海外旅費(グローバル枠のみ)
これはグローバル枠で申請する場合だけ。海外展示会への出展や、海外市場調査にかかる渡航費・宿泊費が該当します。一般枠では使えません。
対象外になる経費——なぜ事業者はハマるのか
さて、ここからが本題と言ってもいいかもしれません。「対象になるもの」より「対象にならないもの」を先に知っておくほうが、計画の手戻りを防げます。
汎用PC・タブレット
一番多い勘違いがこれ。「システム開発のためにハイスペックPCが必要なんです」「タブレットで現場管理をしたいんです」。気持ちはすごく分かるんですけど、パソコンやタブレットは汎用性が高い機器とみなされます。補助事業が終わっても他の仕事に使えちゃいますからね。
以前はサーバー機として購入できたこともあったんですが、最近はめちゃくちゃ厳しくなりました。一方で、プロジェクターなど一部の機器は、利用状況次第で対象になるケースもあります。このへんは正直グレーゾーンなので、事務局に事前確認するのが確実です。
車両
社用車、配送用トラックなども原則対象外。これもPCと同じで、汎用性が高いからです。
建物の取得・建設・改修
ものづくり補助金では建物費は対象外です。工場を建てたい、店舗を改装したい、という場合は新事業進出補助金など別の制度を検討してください。
人件費
自社の従業員の給与・賞与は対象外です。補助事業に専従していてもダメ。人を雇うための費用が欲しい場合は、助成金(キャリアアップ助成金など)のほうが向いています。
消費税
地味なんですけど大事な話。補助対象経費は税抜き金額で計算されます。見積書を取るときは、税抜き・税込みを分けて記載してもらってください。ここで計算が狂うと、補助金額が想定より少なくなります。
補助事業開始前の発注・支払い
交付決定日より前に発注・契約・支払いをしたものは、一切対象外。「採択されたから大丈夫だろう」と先走って発注してしまうケースがあるんですが、採択と交付決定は別のステップです。交付決定を待ってください。
数百万円の設備を先に発注してしまって、補助金が1円も出ない。これ、実際に起きています。
最終審査で「対象外」と判定される
個人的には、事前発注よりもこっちのほうが厄介だと思っています。
交付決定も受けた、事業も実施した、実績報告も出した。なのに最終審査(確定検査)の段階で「この経費は対象外です」と判定される。
実際に見たケースでは、機械装置のつもりで購入した設備が、最終審査で「建物附属設備」に該当すると判断されて、補助対象外になったことがあります。事業者さんとしては寝耳に水なんですが、これは事業者の責任になってしまうんですよね。
「交付決定が出た=経費が全額認められた」ではありません。最終的な経費の確定は、事業が終わった後の検査で行われます。経費区分の判断が微妙なものは、事前に事務局に確認しておくことを強くおすすめします。
見積書・発注のルール
対象経費であっても、発注の手続きを間違えると補助金が出ません。ここも押さえておいてください。
50万円以上は相見積もりが必須
単価50万円(税抜き)以上の経費は、原則として2社以上の見積書が必要です。1社しか製造していない設備の場合は、その理由を書面で説明する必要があります(業者選定理由書)。
ここでひとつ実務的なアドバイス。見積書に記載する品目名は、業者に任せないでください。こちらで指定しましょう。 業者が普段使っている品目名と、補助金の申請書に書く品目名がズレていると、出し直しになります。出し直し自体はできるんですが、業者にも手間をかけますし、何度もお願いすると心象も良くない。最初から揃えておくのが一番です。
中古品の取り扱い
中古品も補助対象になります。ただし、50万円以上の場合は相見積もりに加えて、中古品の価格が妥当であることを示す追加の資料が求められます。あと、オークションでの購入は認められません。
関連会社からの調達
親会社・子会社・グループ会社からの調達は、利益相反の観点から厳しくチェックされます。やむを得ない場合は、理由と価格の妥当性をしっかり説明する必要があります。
「うちのケースは対象になる?」を今すぐ確認する方法
ここまで読んで「で、うちが買いたいアレは結局どうなの?」と思っている方、多いんじゃないでしょうか。
一番確実で早い方法を教えます。AIに公募要領を読ませて聞いてください。
具体的には、GoogleのNotebookLMというサービスを使います。手順はこれだけ。
- ものづくり補助金の公式サイトから最新の公募要領PDFをダウンロード
- NotebookLMにアクセスして、そのPDFをアップロード
- 「CNC旋盤の購入費は補助対象経費になりますか?」「中古の真空包装機を買いたいのですが、条件はありますか?」みたいに、自分のケースをそのまま質問する
NotebookLMは公募要領の中から該当する箇所を引用しながら答えてくれるので、「どこに書いてあるか」も同時に分かります。5分もかかりません。
まずはこれをやってみてください。「対象になりそう」「微妙」「完全にアウト」の判断がつくだけで、計画の立て方がだいぶ変わります。
計画書全体の整合性まで見たいなら
NotebookLMで経費の対象可否は確認できます。ただ、補助金の申請って「対象経費かどうか」だけでは終わらないんですよね。
審査員が見ているのは、その設備投資が事業全体の計画と整合しているかどうか。機械を買う理由、その機械で何がどう変わるのか、売上・利益にどうつながるのか。経費の妥当性は、計画書全体のストーリーの中で評価されます。
採択される事業計画書のポイントについては、ものづくり補助金の事業計画書の書き方で詳しく解説しています。
「自分のケースで申請が通りそうかどうか、全体を見てほしい」という方は、初回相談(60分・5,000円)で状況をお聞きします。対象経費の確認だけじゃなくて、計画として筋が通っているかどうかを率直にお伝えします。
ご相談は電話(050-6869-1215・平日9:00〜18:00)、LINE、またはお問い合わせフォームから受け付けています。
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