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「うちにAIはまだ早い」は本当か?──中小企業が今判断すべきこと

「AIって、大企業の話でしょ?」

皆さん、こんにちは。王子かわはし事務所の川橋です。

AI活用の相談を受けていて、こういう反応をよくもらいます。「うちみたいな規模には関係ないですよ」「うちは製造業だから」「社員がパソコン苦手で」「現場仕事だし」——理由はさまざまですが、結論は同じ。「うちには関係ない」。

ところが、実際にAIが一番効くのは華やかなところではありません。シフト管理、名刺管理、メールの下書き、スケジュール調整——毎日やっている地味なバックヤード業務です。しかも業種は関係ない。製造業でも、サービス業でも、建設業でも、事務作業はあります。現場仕事の会社でも、見積書を作ったり、日報を書いたり、シフトを組んだりはしているはずです。

「うちは関係ない」と思ったあなたへ

「うちの業種は特殊だから」「社員が使いこなせないから」——そう思った方に、ひとつ聞かせてください。

1週間でいいから、売上向上と関係ない仕事をあげてみてください。

請求書の作成、日報の入力、見積書のフォーマット調整、メールの返信文を考える時間、シフト表の作成、勤怠の集計……。いくつ出てきましたか? それが全部、AIで楽になる候補です。

この質問を実際に経営者にぶつけると、大抵はものすごい抵抗されます。「いやいや、全部必要な仕事ですよ」と。でも面白いのは、その後なんです。しばらくすると、ちゃんとAIと向き合い始める人が出てくる。Notebook LMの使い方を聞いてきたり、動画生成AIで指示がうまくいかないと相談してきたり。自分の業務で試し始めている証拠です。

社員がやっている「誰かがやらなきゃいけないけど誰もやりたくない」作業。そこにAIの出番があります。

もうひとつ。ある数十人規模の会社で、退職が立て続けに起きたことがありました。設計や積算、営業アシスタントといった業務が完全に属人化していて、引き継ぎのたびに大混乱。そもそも業務の洗い出しすらできていなかった。辞めるたびに「あの人しか知らない」が発覚するわけです。ノウハウを個人の頭の中ではなく、会社の資産にする。その手段としてAIは有効です。

「やるべき会社」と「まだ早い会社」の見分け方

正直に言います。AIを導入すべき会社と、まだ早い会社があります。

やるべき会社の特徴: 自分の業務に対して「ここが面倒」「ここに時間がかかっている」というイメージを持てている会社です。社長でも、現場の担当者でもいい。このイメージがある人は、AIが増幅装置になります。

まだ早い会社の特徴: 「AIがCMを勝手に作ってくれるんでしょ?」——こういう幻想を持っている状態です。AIは魔法の箱ではありません。汎用的すぎて、使い方を知らないまま触っても何も起きない。

じゃあ「まだ早い」人はどうするか。私がやるのは有料版を課金させることです。身銭を切ると、人は本気になる。無料版を少し触って「使えない」と判断するのと、月2,000円払って「元を取ろう」と使い込むのでは、まったく違います。

AIは汎用的だから、使い道は本当に人それぞれです。だからこそ、自分の業務で「これに使えるかも」と思えるかどうかが分かれ目になる。

ただし——業務イメージが持てないのは、能力の問題ではありません。 経営者は誰よりも自分の会社を愛しています。AIで何ができるかを「知らないだけ」です。知らないから、自分の業務と結びつけられない。その「翻訳」をするのが、私の仕事です。

人を雇う前に、考えてほしいこと

「人手が足りないから採用したい」——この相談もよく受けます。

ひとつ提案させてください。採用とAI導入は、同時並行でできます。 人を増やす前に、今の業務の生産性を上げる余地がないか。

たとえば、新規事業の展開で販促計画を立てる場面。AIと一緒に案を練る方法を仕組み化したことがあります。また、業務のボトルネックになっている工程を特定して、AIでアシストする仕組みを作ったこともあります。

人を1人雇えば、社会保険料や採用コストを含めて月40万〜60万円のコストがかかります。AIツールは月数千円です。もちろんAIが人の代わりになるわけではありませんが、「採用の前にやれること」は意外と多い。 社員10人の会社でも、50人の会社でも、「本当にもう1人必要か?」は一度立ち止まって考える価値があります。

町場の「AIメンテ工場」として

私がやっていることを一言で言うと、AIの町場のメンテ工場です。

自動車を思い浮かべてください。昔はたくさんのメーカーが車を作っていました。今は数社に集約されて、あとは販売やメンテナンスの会社です。AIも同じ構造になっていくと思います。AIを作るのはOpenAIやAnthropicの仕事。現場で使えるように調整・メンテナンスするのが、私の仕事です。

そして、私のゴールは「自走」してもらうことです。丸投げで仕組みを作って渡すのではなく、理解してもらって、自分たちで回せるようになること。

私自身、AIを仕事のパートナーとして使っています。最初に「これは使える」と確信したのは、AIが自分の意見に対して同調でも対立でもなく、調整をかけてくれると感じたときでした。壁打ち相手として信頼できる。あとはこっちの扱い方次第だ、と。

経営者にとっても同じだと思います。AIは言いなりの部下でも、正論をぶつけてくるコンサルタントでもない。自分の考えを整理し、磨いてくれる相手になり得る。そう実感できたら、もう自走は始まっています。

「うちにAIはまだ早い」と思っている方。まだ早いかどうかは、話してみないとわかりません。

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