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省力化投資補助金とは?カタログ注文型・一般型の違いと申請の流れ【2026年版】

「人手が足りない」を設備で解決する補助金

皆さん、こんにちは。王子かわはし事務所の川橋です。

省力化投資補助金は、人手不足に悩む中小企業がIoTやロボットなどの省力化製品を導入する費用を補助する制度です。正式名称は「中小企業省力化投資補助金」。2024年に始まった比較的新しい補助金で、ものづくり補助金やIT導入補助金とは別の枠組みです。

最大の特徴は**「カタログ注文型」と「一般型」の2類型**があること。多くの中小企業が関わるのはカタログ注文型のほうです。まずはこの2つの違いから説明します。

カタログ注文型と一般型の違い

カタログ注文型一般型
対象カタログに登録された製品自由(省力化につながる設備投資)
補助上限最大1,500万円最大1億円
事業計画書簡易(製品選定が中心)本格的(革新性・省力化効果を記述)
申請の手軽さ比較的簡単ものづくり補助金並み
向いている会社カタログに欲しい製品がある大規模な省力化投資を計画している

カタログ注文型は、あらかじめ国に登録された「カタログ製品」の中から選んで申請します。製品が決まっているぶん計画書の負担が軽く、手続きは楽です。ただし、カタログにない製品は対象外。ここが最大の制約です。

一般型は、カタログに縛られず自由に設備投資ができますが、そのぶん事業計画書の作り込みが必要です。補助上限は最大1億円と大きいですが、ものづくり補助金と同等の労力がかかると考えてください。

この記事では、多くの方に関係するカタログ注文型を中心に解説します。

補助額と補助率(カタログ注文型)

補助率は1/2。従業員数に応じて補助上限額が決まります。

従業員数補助上限額賃上げ達成時
5名以下200万円300万円
6〜20名500万円750万円
21名以上1,000万円1,500万円

「賃上げ達成時」は、事業場内最低賃金を3.0%以上、かつ給与支給総額を6%以上引き上げる計画を立てて実行した場合の上乗せです。

対象となる経費は、カタログ登録製品の購入費と、製品価格の20%以内の設置費用です。製品の単価は50万円以上が条件です。

補助率1/2ということは、自己負担も1/2です。500万円の設備なら250万円は自腹。ものづくり補助金(小規模事業者は2/3)と比べると補助率は高くありません。「補助金があるから買おう」ではなく、必要な設備がたまたま対象だったら使う、くらいの温度感が正解です。

2026年3月の制度改定で何が変わった?

2026年3月19日に制度が改定されました。主な変更点は4つです。

1. 申請期限の延長

受付期限が2026年9月末→2027年3月末に延長。急いで申請する必要がなくなりました。

2. 収益納付の撤廃

以前は、補助事業で大きな利益が出た場合に補助金の一部を返す「収益納付」がありましたが、完全に撤廃されました。利益が出ても返さなくて済みます。

3. 賃上げ要件の変更

補助上限の上乗せ条件が「時給45円以上」から**「3.0%以上」**に変更。物価安定目標を踏まえた率ベースの基準になりました。

4. 2回目以降の申請ルール整備

一度採択された事業者が再申請する場合のルールが整備されました。前回の省力化効果の報告と、最低賃金の継続引き上げが必要です。

申請の流れ

カタログ注文型の申請は5ステップです。

① カタログで製品を探す 公式サイトの製品カタログから、自社の業種・課題に合った製品を探します。製品カテゴリはA〜Iの9区分。ロボット、IoTセンサー、自動化設備などが登録されています。

② 販売事業者に連絡する カタログ製品にはそれぞれ「販売事業者」が紐づいています。製品を選んだら、販売事業者に連絡を取ります。

③ 共同で申請する 販売事業者と共同で、電子申請システムから申請します。GビズIDプライムが必要です。

④ 採択後に製品を導入する 採択通知を受けてから製品を発注・設置します。採択前の発注は補助対象外なので注意してください。

⑤ 実績報告 導入後、実績報告を提出して補助金を受け取ります。その後3年間、労働生産性の年平均3.0%以上向上が求められます。

GビズIDプライムが必要ですが、この規模の補助金を検討する会社であれば、すでに持っているケースがほとんどでしょう。まだの方はGビズIDプライム取得ガイドを参考にしてください。

他の補助金との使い分け

「省力化投資補助金」「ものづくり補助金」「IT導入補助金」は対象が重なるように見えて、実は使い分けがはっきりしています。

省力化投資補助金(カタログ注文型)ものづくり補助金IT導入補助金
何を買うカタログ登録のハードウェア機械装置・システム構築等(自由度高)登録ITツール(ソフトウェア中心)
補助上限1,500万円1,250万円〜4,000万円5万〜450万円
計画書の負担軽い重い(審査項目多数)中程度
採択率比較的高い30〜34%(厳しい)比較的高い
向いているケースカタログに合う製品があるオーダーメイドの設備投資会計・受発注等のソフト導入

迷ったときの判断基準はシンプルです。 まずカタログを見て、欲しい製品があるかどうか。あれば省力化投資補助金が手続き的に一番楽です。なければ、ソフトウェアならIT導入補助金、ハードウェアや大規模な設備投資ならものづくり補助金を検討してください。

対象事業者の要件

申請できるのは以下のすべてを満たす事業者です。

  • 日本国内で法人登記し、国内で事業を営む中小企業・小規模事業者
  • 申請時点で人手不足の状態にあること
  • 全従業員の賃金が最低賃金を上回っていること
  • 同一の補助金を重複して受給していないこと

「人手不足の状態」の具体的な定義は公募要領で確認してください。

診断士の正直な感想

ここまでフラットに制度を解説してきましたが、最後に正直な感想を書きます。

この補助金、使える会社はかなり限られます。

理由はカタログ製品の偏りです。登録製品を見ると、製造業向けの自動化設備やロボットが中心。飲食、小売、サービス業——つまり中小企業の多数派——が「これだ」と思える製品が少ないのが現状です。

制度の趣旨は良いと思います。計画書の負担を減らして、カタログから選ぶだけで申請できる。手続きのハードルを下げたのは正しい方向です。ただ、カタログの中身が追いついていない。結果として、予算が余る状況が続くのではないかと見ています。

とはいえ、カタログ製品は随時追加されています。2026年4月時点でも物流用ドローンや食品加工装置など、非製造業向けの製品が少しずつ増えています。自社の業種で使える製品が登録されていないか、一度カタログを覗いてみる価値はあります。

「こういう設備を入れたいんだけど、使える補助金はあるか」——そういう相談であれば、省力化投資補助金に限らず、最適な制度を一緒に探します。気になることがあればお問い合わせください。

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