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持続化補助金は個人事業主こそ使える|申請条件・金額・注意点まとめ

「個人事業主でも補助金って使えるんですか?」

皆さん、こんにちは。王子かわはし事務所の川橋です。

この質問、経営相談で本当によく聞かれます。答えはもちろん「使えます」なんですが、実はこの質問の裏側にはもうちょっと根深い問題が隠れています。

「補助金=法人向け」というイメージが強すぎて、個人事業主の方は最初から選択肢に入れていないことが多いんです。持続化補助金に限って言えば、むしろ個人事業主のための補助金と言ったほうが実態に近い。なぜなら「小規模事業者」を対象にした制度だからです。

実際、わたしが支援してきた事業者さんの中にも、飲食店やエステサロン、美容室といった個人事業主の方がたくさんいます。法人化していない方のほうがむしろ多いくらいです。従業員を数名雇っている個人事業主の方も普通にいますし、この補助金の「主役」は間違いなく個人事業主です。

この記事では、個人事業主が持続化補助金を申請するために知っておくべきことを、実務の順番で整理しました。

そもそも持続化補助金とは?——1分で理解する

小規模事業者持続化補助金は、中小企業庁が実施する補助金で、小さな会社や個人事業主の「販路開拓」を支援する制度です。

ざっくり言うと(2026年・第19回時点):

  • もらえる金額: 通常枠は最大50万円。インボイス特例で+50万円(最大100万円)、賃金引上げ特例でさらに+150万円(最大250万円)
  • 補助率: 対象経費の2/3(赤字事業者で賃金引上げ特例を使う場合は3/4)
  • 何に使える: 機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費、旅費、開発費、資料購入費、借料、設備処分費、委託・外注費
  • 何に使えない: 人件費(一部例外あり)、仕入れ、日常的な経費

なお、以前あった「賃金引上げ枠」「卒業枠」「後継者支援枠」「創業枠」といった特別枠は廃止され、第17回以降は通常枠のみになっています。創業枠は「創業型」として別制度になりました(補助上限200万円、補助率2/3)。

金額だけ見ると「50万円?」と思うかもしれません。でも個人事業主が販路開拓に使う費用として考えると、ホームページをリニューアルしたり、パンフレットを作ったりするには十分な金額です。インボイス特例に該当すれば100万円まで上がりますし、賃金引上げ特例まで使えば最大250万円です。

個人事業主の申請条件——法人との違いはここ

個人事業主が持続化補助金を申請するには、まず以下の条件を満たす必要があります。

従業員数の要件

「小規模事業者」の定義は業種によって異なります。

業種従業員数
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業以外)5人以下
宿泊業・娯楽業20人以下
製造業その他20人以下

ここでいう「従業員」は常時雇用している方の数です。代表者本人、役員、パート・アルバイトは原則として含みません。つまり、一人でやっている個人事業主は問題なく対象です。

確定申告していることが前提

法人なら決算書を提出しますが、個人事業主の場合は確定申告書が必要です。

  • 青色申告の場合:確定申告書第一表+所得税青色申告決算書
  • 白色申告の場合:確定申告書第一表+収支内訳書

ここで注意。開業して間もない方で、まだ確定申告をしたことがない場合は、開業届の写しで代替できます。ただし、その場合は実績がないぶん、計画書でしっかり事業内容を伝える必要があります。

ちなみに、開業して間もない方(開業1年以内)であれば、一般型ではなく「創業型」を狙うのがおすすめです。補助上限が200万円と大きいですし、計画書を書く過程で事業の全体像を網羅的に整理できるので、経営の勉強にもなります。ただし第3回(2026年)から対象が「過去3年以内」→「過去1年以内」に厳格化されたので、該当するかは早めに確認してください。

法人との違いまとめ

項目個人事業主法人
提出する決算書類確定申告書貸借対照表・損益計算書
代表者の扱い従業員数に含まない役員として含まない
口座屋号名義がなくても可法人口座
gBizIDプライム個人で取得法人として取得

申請の流れ——準備から入金まで

持続化補助金の申請から入金まで、実際にはこんな流れになります。

ステップ1:gBizIDプライムを取得する

電子申請にはgBizIDプライムが必須です。マイナンバーカードがあればオンラインで申請できますが、取得まで1〜2週間かかることがあります。公募開始を待ってから取得しようとすると間に合わない可能性があるので、先に済ませておいてください。

ステップ2:経営計画書・補助事業計画書を作成する

ここが一番時間がかかります。書く内容は大きく分けて2つ。

  1. 経営計画書(様式2): 自社の事業内容、強み、市場環境、経営課題
  2. 補助事業計画書(様式3): 補助金を使って何をやるか、なぜそれが必要か、いくらかかるか

初めての方だと、ここで結構つまずきます。よく見るパターンとしては、ChatGPTに丸投げして出てきた文章をそのまま貼り付けている、各欄が3行くらいでスカスカ、環境分析の欄に自社のことを書いてしまっている(それは「自社の強み」の欄です)、などなど。計画書には「正解」はありませんが、「よくある間違い」はあります。

ステップ3:商工会議所(または商工会)で事業支援計画書をもらう

持続化補助金の申請には、地域の商工会議所(または商工会)から「事業支援計画書(様式4)」を発行してもらう必要があります。

注意点は、自分の事業所が商工会議所管轄なのか商工会管轄なのかを確認すること。ここを間違えると書類不備で不採択になります。管轄がわからない場合は、最寄りの商工会議所に電話すれば教えてもらえます。

ステップ4:電子申請で提出する

書類が揃ったら、電子申請ポータルから申請します。第19回の締切は2026年4月30日(木)です。操作自体は難しくないですが、締切日当日にやらないことが鉄則です。システムトラブルで申請できなかった、という事故は本当にあります。

ステップ5:採択後の流れ

採択通知が届いたら、補助事業期間内に計画した経費を使います。

ここが個人事業主の方が見落としがちなポイントなんですが、補助金は後払いです。先に自分のお金で支払って、事業完了後に実績報告書を提出し、審査を経てから補助金が入金されます。

つまり、75万円の経費を使って50万円の補助を受ける場合、いったん75万円を自分で払う必要があります。この資金繰りを想定しておかないと、採択されたのに事業を実行できないという事態になりかねません。

以前は、採択発表が出た瞬間に設備を購入してしまい、実は補助対象外だった……というケースが結構ありました。最近は減りましたが、「採択=すぐ使える」と思い込んでいる方はまだいます。採択後の手続きの流れは、公募要領に書いてありますので必ず確認してください。

個人事業主がつまずきやすい3つのポイント

1. 「生活費」と「事業経費」の境界が曖昧

個人事業主は法人と違って、事業と生活の財布が分かれていないことが多い。計画書に書く売上計画や経費の数字が、どこまでが事業分でどこからがプライベートなのか、自分でも整理できていないケースがあります。

確定申告をきちんとやっていればこの問題は起きにくいのですが、「なんとなく申告している」状態だと、計画書の数字に一貫性がなくなり、審査で引っかかりやすくなります。

2. 「販路開拓」の意味を狭く捉えすぎている

「販路開拓って、新しい取引先を見つけることですよね?」——半分正解で、半分間違いです。

持続化補助金における「販路開拓」は、新しい顧客層へのアプローチ、新商品・新サービスの開発、既存顧客への新しい提案方法なども含みます。たとえば、これまで対面だけだったサービスをオンラインでも提供できるようにする、というのも立派な販路開拓です。

3. 経費の「相見積もり」を忘れる

100万円を超える経費については、原則として2社以上の見積もりを取る必要があります。個人事業主は普段から相見積もりを取る習慣がないことが多く、ここで書類不備になるケースが少なくありません。

見積書は申請時に添付する必要がありますので、計画書を書き始める前に早めに動いてください。

持続化補助金を使うべき人、使わないほうがいい人

正直に言うと、持続化補助金はすべての個人事業主におすすめできるわけではありません。

使うべき人

  • 販路開拓のために投資したいが、全額自己負担だと踏み切れない
  • 事業の方向性が明確で、何に投資すべきかが見えている
  • 計画書を書く時間と労力を割ける(または支援を受ける予算がある)

使わないほうがいい人

  • 「とりあえず補助金がもらえるなら申請したい」という動機
  • そもそも何に投資すべきかが決まっていない
  • 事業の売上が不安定で、自己負担分(1/3)の支払いが厳しい

補助金は目的ではなく手段です。事業を良くするための投資がまずあって、その投資を補助金が後押しする、という順序が大事です。

相談に来られる方の大半は、「誰に売るか」が抜けています。アドバイスすれば補正できるので大きな問題にはなりませんが、たまに「誰に」も「何を」も決まっていないのに「どうやって」(=ホームページを作りたい、チラシを作りたい)だけ先行しているケースがあります。そういう方には正直に「まだ補助金を使う段階ではない」とお伝えしています。

もうひとつ、計画書に書いた内容と実際にやりたいことが乖離しているパターンも要注意です。採択されるために計画書を「盛って」しまうと、実績報告のときに辻褄が合わなくなります。公募要領を全然読まずに申請する方も同様で、採択後の実績報告で詰むことになりがちです。読むように促して、それでも読まない方には申し訳ないですがお断りすることもあります。

まとめ

持続化補助金は、個人事業主にとって数少ない「使いやすい補助金」です。従業員数の要件さえ満たせば、業種を問わず申請できます。

ただし、「もらえるからもらう」ではなく、「事業をこう変えたい、だから補助金を活用する」という順序で考えてください。この順序が逆になると、計画書が書けない、書けても採択されない、採択されても事業がうまくいかない、という負のループに入ります。

不採択になる理由持続化補助金のメリット・デメリットも合わせて読んでいただくと、申請すべきかどうかの判断材料になります。

計画書の書き方がわからない、自分の事業で使えるか判断がつかないという方は、お気軽にご相談ください。「申請すべきかどうか」の段階からお話しします。

まずは相談してみる(5,000円/60分)