制度情報・募集状況の確認日:2026年10月11日
「展示会に出展するので、費用の一部を補助金でまかないたい」。小間料に装飾、商品の輸送費。出展の準備を始めると、思った以上に費用がかかるものです。
東京都内の事業者には、展示会出展に使える複数の補助金・助成金があります。ただし、制度名や上限額だけで選ぶと、商品や出展時期が条件に合わないことがあります。まずは自社と出展計画の条件から、候補を絞っていきましょう。
この記事の「東京版」は、東京都内の事業者向けという意味です。東京で開催される展示会だけに使える、という意味ではありません。国内・海外などの対象範囲は制度ごとに異なります。以下では、主な条件と申請前の注意点を紹介します。
最初に確認したいのは所在地・商品・出展目的
調べる順番は、①本店や事業所の所在地、②出展する商品、③展示会の目的、④出展・支払時期です。所在地で東京都・公社と区市町村の制度を探し、その後に商品や事業の条件を確認すると、候補を整理しやすくなります。
特に、自ら企画・製造した商品と、他社から仕入れて販売する商品は区別が必要です。自社商品を対象とする制度では、取り扱っているだけでは条件を満たしません。また、新たな取引先との商談が目的の展示会と、その場で商品を売る即売会でも扱いが変わります。
売上が減っていなければ使えない、と決めつける必要もありません。商品の分野や事業承継などを条件とする制度もあります。自社がどの条件に当てはまるのかを見ていくことが大切です。
まず検討したい展示会出展助成事業
東京都中小企業振興公社の「展示会出展助成事業」は、BtoBの商談を目的とする展示会への出展費用等を支援します。助成率は対象経費の3分の2以内、上限は150万円です。小間料、装飾に使う資材費、輸送費などが対象ですが、経費区分ごとの上限や対象外経費もあります。
主な申請条件には、都内で実質的に事業を営んでいること、直近2期分の確定申告を終えていること、公社所定の無料経営分析を受けていることなどがあります。そのうえで、業況等に関する次のいずれかの要件を満たす必要があります。
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直近の売上高が所定の比較方法で減少している
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直近決算で損失を計上している
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令和7・8年度の所定のグロースサポート支援を受け、支援証明を得ている
つまり、減収や赤字でなくても、所定の支援実績と証明があれば検討できる場合があります。ただし、経営分析とグロースサポート支援は別の要件です。今から相談すれば直ちに申請できるとは限らないため、受けた支援の内容と証明を確認してください。
展示会の選び方にも注意が必要です。販売を行う出展、共同出展、試作品のPRや市場調査を目的とする出展などは対象外です。「展示会という名前だから使える」とは判断せず、出展内容まで確認しましょう。
2026年10月11日時点では、第7回の受付期間は10月1日から10月14日16時までです。期間内でも予算到達により終了します。第7回の交付決定は12月1日予定ですが、出展できる期間は2027年1月1日から12月31日まで。申請を急ぐ前に、予定している展示会がこの期間に入るかを確認してください。
自社商品の分野が合えば課題解決販路も候補
「課題解決型製品・サービス等の販路拡大助成」は、安全・安心、高齢者・介護・障害者、DX推進、暑さ対策の4分野に該当する商品等の販路開拓を支援します。一般枠の助成率は3分の2以内、上限は150万円です。
対象商品の重要な条件は、自ら企画・製造し、自社製品として単独で販売する権利を持つことです。たとえば暑さ対策に役立つ商品でも、他社製品を仕入れて代理販売するだけでは、通常この条件に当てはまりません。対象分野と商品に関する権利の両方を確認しましょう。
第1回募集は終了し、第2回は2026年11月10日から11月30日17時までの予定です。助成対象期間は2027年2月1日から最長2028年2月29日まで。売上減少だけで制度を探していた方も、自社商品の特徴から検討する余地があります。
所在地の区市町村にも出展支援がある
東京都や公社の制度に加えて、本店や事業所がある区市町村の制度も確認しておきましょう。金額が比較的小さくても、出展計画に合う可能性があります。
文京区の展示会等出展費用補助金
国内展示会は対象経費の2分の1、上限10万円。国外展示会は2分の1、上限30万円です。区内に本店、個人事業主の場合は主たる事業所があり、1年以上営業していることなどが条件となります。
出展申込後、開催のおおむね1か月前までに申請します。開催済みの展示会や即売・販売を行う展示会は対象外です。同じ展示会について他自治体等の補助を受ける場合も利用できません。確認日時点では下半期の先着募集が案内されていますが、残りの予算枠は申請前に区へ確認してください。
立川市の立川産品販路拡大等支援事業補助金
対象経費の2分の1、企業は上限30万円、団体は上限60万円です。ただし、対象は製造業、機械修理業、ソフトウェア業、情報処理サービス業などのものづくり企業等で、すべての業種に開かれた制度ではありません。
確認日時点では申請受付中で、予算の範囲内で先着順です。事前に電話で相談し、事業実施前に申請する必要があります。所在地だけでなく、業種や事業所の条件も確認しましょう。
事業の背景に合う制度も確認する
事業承継をきっかけに販路を広げる場合
「事業承継を契機とした成長支援事業(販路開拓コース)」は、所定期間に事業承継し、その承継を契機に新規事業展開する後継者の取組が対象です。既存製品でも、新規販路開拓の取組が対象となり得ます。助成率は3分の2以内、上限300万円。第2回募集は2026年10月13日から11月12日16時までの予定です。承継時期には細かな要件があるため、代表者が交代したというだけでは判断できません。
公式情報:東京都中小企業振興公社 事業承継を契機とした成長支援事業
脱炭素の取組を発信する場合
「カーボンクレジット活用促進事業」は、都内に事務所・事業所を持つ法人等が対象で、個人事業主は対象外です。製品・商品やイベント等の温室効果ガス排出量を算定し、東京都のマーケットを通じたクレジット購入・無効化等で排出量をオフセットしたうえで、その取組を発信する販促活動等を支援します。中小企業は3分の2、上限200万円。受付期間は2026年4月1日から2027年3月31日で、確認日時点では受付中です。算定やクレジット購入などの負担と助成のメリットを比較して検討しましょう。
公式情報:クール・ネット東京 カーボンクレジット活用促進事業
市場開拓助成事業は今年度の受付終了
都・公社から所定の評価や支援を受けた商品、指定の成長産業分野の自社商品等が対象となる制度です。助成率は2分の1以内、上限300万円ですが、2026年度の受付は5月29日に終了しています。誰でも利用できる制度ではなく、次年度の募集も確認日時点では未公表です。
申込・契約・支払・出展の日付を分けて確認する
展示会は、開催の何か月も前に申込や支払が必要なことがあります。ここで重要なのは、「出展日が対象期間内なら大丈夫」と考えないことです。申込、契約、支払、出展のそれぞれについて、認められる時期を確認してください。
公社の展示会出展助成事業や課題解決販路では、原則として対象期間内に契約・実施・支払を行いますが、出展小間の申込・契約には先行できる例外があります。先行契約ができても、期間前の支払まで認められるとは限りません。一方、文京区は出展申込後の申請です。すべての制度に「申込前に申請」という同じルールを当てはめないようにしましょう。
また、上限150万円と書かれていても、誰でも150万円を受け取れるわけではありません。認められた経費に補助率を掛け、区分別上限や経費の審査を経て金額が決まります。入金までの立替資金や、見積書・請求書・振込記録・出展写真などを残す準備も必要です。
自社に合う制度を出展計画から選ぶ
最初に整理したいのは、誰に何を売るための出展か、どの展示会にいつ出るか、何にいくら使うかです。そのうえで、所在地、商品、業況や支援実績、日程を照らし合わせると、使える可能性のある制度が見えてきます。
この記事で紹介したのは主な条件です。申請者要件や対象経費のすべてを網羅したものではありません。募集は予算や年度によって変わるため、最新の募集要項と窓口で確認してから、契約や支払を進めましょう。自社の出展計画に合う制度を整理したい方は、王子かわはし事務所へご相談ください。
