事業計画の作成支援(飲食業の事例)

皆さま、こんにちは。

本日はレストランを営む事業者の経営支援事例をご紹介します

事業者様の状況

事業者さまは、関西で洋食店を営まれている創業昭和8年の老舗です。特製ドビソース( 小麦粉、バターを焦がして、牛タンのブイヨンと野菜で煮込んだデミグラスソース)は独特の風味があり、このソースをふんだんに使ったタンシチューは看板メニューでもあり、とても人気です。
地域の顧客に親子三代で親しまれる名店ですが、その一方で、中食(外食と内食の中間で、お惣菜やレトルト食品などが該当する食品の領域)事業として始めたレトルト商品の販売が好調で、いよいよ生産量が追いつかなくなりました。

支援の方向性について

当事務所では、ご相談に当たってヒアリングを行い、支援の方向性を定めます。そのために、まずは現在の財務諸表や生産状況を分析して、現状の生産限界と、どの程度の生産量拡大を目指すのかを検討します。

今回は、取引先からの要望など、必要となる生産数に応じるためには、中食専用の調理場(新工場)が必要という判断となりました。また、保管する倉庫、資材を確保するスペースなども用意が必要です。

支援の内容について

新工場を設立するにあたって、まずは投資の判断を行うこととなります。
生産数を拡大することは手段であって、目的は、あくまでも会社の存続に必要な収益の確保です。新工場を設立する経済性を検討するにあたっては、最低でも以下の項目について検討が必要になってきます。少し説明しますと。。

①事業の売上高
売上高は、「販売単価*生産数」で求めることができます。ちなみに、単価が異なる商品が複数ある場合の販売単価は計算が複雑になりますが、過去の販売実績の総売上高を総販売数で割れば簡易的に販売単価を算出することができます。

②生産量
1日当たりの生産量を算出して、それをベースに年単位の生産数を算出します。1日あたりの生産量は、ロット数*1日当たりの回転数で算出できます。初年度に比べて、習熟度の高まりを考慮して2年目、3年目の生産量は高まることを考慮に入れましょう。

③想定される製造原価構造
製造原価は「材料費・労務費・経費」で分類されます。各費用の算出は、これまでの実績をベースに数値を作ることもできますが、簡便的には、予想売上高に占める割合で算出することも可能です。

④変動費と固定費
変動費は、操業の度合い影響する費用で材料費、包材費など、製造にかかる費用を分類します。一方で固定費は、操業の度合いにかかわらず発生する費用であり、人件費、広告宣伝にかかる費用、工場の減価償却費などです。変動費か固定費かがあやふやな場合は、固定費に入れてしまいます。

これらの項目が必要となります。この計画数値が求まると、年間で生み出すキャッシュフロー(手元に残るお金)が把握できます。キャッシュフローをもとに、投資額を照らし合わせることで、 新工場の投資が適切かどうかの判断を行うとともに、赤字にならない最低限の販売数、目標となる利益を達成するための販売数を求めることができます。

この記事を書いた人

川橋 隆則

中小企業診断士 当事務所の代表を務めています

パティシエからスタートして、システムエンジニアとなり、その後に経営コンサルタントとなった
ちょっと変わった経歴の持ち主です。