皆さま、こんにちは。
当事務所ではこれまでにも、中小企業や個人事業主の皆さまの「補助金申請サポート」や「事業計画策定支援」を行ってまいりました。
今回はその中の一例として、コロナ禍で大幅に売上が減少した既存飲食店が、新たにベーカリーフランチャイズへ挑戦してV字回復をめざす事業再構築補助金の計画をご支援した事例をご紹介します。
既存飲食店が直面した課題
ここでは、本事例の事業者様が抱えていた具体的な問題点と、コロナ禍による外食需要の減少など経営環境の変化についてご紹介します。
コロナ禍による売上急減
本事例の事業者様は、長年、外食系フランチャイズ店舗を運営してこられました。しかし、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う外出自粛や時短要請の影響を受け、客足が激減。特に「飲食のシメ」での需要が大きかったため、売上の減少幅が非常に大きく、安定収益が見込みづらい状況に陥っていました。
新規事業への方向転換
「このまま外食需要だけに頼っていては先行きが不透明」との経営判断により、テイクアウト需要の取り込みを狙ったベーカリーフランチャイズへの参入を検討。具体的には、“おいしいパンとエンターテインメントを両立する”という明確なコンセプトを持つブランド(以下「ベーカリーFC」)への加盟を決められたのです。
当事務所の支援内容
次に、当事務所がどのように事業者様をサポートしたか、その具体的な取り組みをご紹介します。
(1) 事業計画書の作成サポート
- 公募要領や審査観点に沿った整理
新規事業を円滑に進めるため、金融機関への説明や補助金制度の活用を見据えた事業計画書が重要です。当事務所では、ヒアリングと現状分析を丁寧に行いながら、審査観点を踏まえた形で計画を整理しました。 - SWOT分析による方向性の明確化
既存の飲食ノウハウ(強み)や、コロナ禍で高まるテイクアウト需要(機会)といった要素を最大限に活用するため、事業者様と検討を重ねました。同時に、外食需要依存の脆弱性(弱み)や感染拡大リスク(脅威)も踏まえ、計画に反映しています。
(2) 新規ベーカリー出店に向けた具体策の立案
- ターゲット設定と商品ラインナップ
老若男女問わず幅広いニーズがある「テイクアウトのパン」をメイン商材とし、オリジナル商品の開発やSNS活用による地域色のアピールで差別化を図る方針を検討しました。 - 店舗オペレーションの確立
フランチャイズ本部の研修と、成型済みの冷凍生地を使った効率的な製造工程を導入。新人スタッフでもスムーズに習得できるプロセスを整えました。 - プロモーション戦略
高齢世帯への折込チラシ、SNS、既存店舗からの相互送客など多角的な集客方法を計画。フランチャイズ本部のプレスリリースサポートも活用し、地域外からの集客も狙いました。
実施後の期待効果
事業計画の策定と新規事業への進出によって、どのようなメリットや変化が見込まれるのか、ここでは主な期待効果をまとめます。
ここでは、当事務所の経験や事業者さまの事例から得た“主な可能性”をご紹介します。実際の成果は、企業の業態や地域性、外部環境などに大きく左右されるため、下記はあくまで一例とお考えいただければ幸いです。
(1) 外食需要だけに頼らないリスク分散
既存事業がコロナ禍などで大きな影響を受けやすい業態の場合、新規にテイクアウト需要の高い商品を導入することで、売上の安定化につながる可能性があります。
たとえば外食のみであれば、緊急事態宣言や営業時間短縮の要請に左右されがちですが、パンやテイクアウト商品の販売を合わせれば、生活者が“いつでも手軽に買える”商材を持つことになり、外部環境の変動に対して一定の耐性を持てるでしょう。
(2) 地域活性化と雇用の創出
地域的な特産品や地元資源を取り入れたメニュー開発を行うと、「新たな名物づくり」を通じて地域全体を盛り上げることが期待できます。高齢化や後継者不足が深刻化している地方では、新規オープンの店舗が“雇用の場”になるケースもあるため、事業者さまご自身の収益だけでなく、地域コミュニティと共存共栄を図れる点がメリットです。
もっとも、これらの効果が顕在化するかどうかは、立地やターゲット設定、プロモーションの積み重ねによって大きく異なります。現地のニーズを踏まえた着実な運営こそが鍵となります。
(3) デジタル技術の活用による業務効率化と安心感
アプリや予約システムの導入によって事前注文・事前決済を可能にすると、待ち時間の短縮や“密”回避といった顧客メリットが生まれます。これにより、コロナ禍などでも比較的安心して利用してもらいやすくなり、店舗運営のスムーズさも向上する可能性があります。
また、データを蓄積・分析すれば、人気商品の動向や時間帯ごとの来店傾向が把握しやすくなり、仕入れや人員配置の最適化を行いやすい点も利点です。ただし、システム導入には初期投資やスタッフへの教育が必要になるので、費用対効果を見極めたうえで段階的に取り組むことが重要です。
まとめ
最後に、本事例を通じてお伝えしたいのは、コロナ禍で苦境に立つ飲食店が「パン」というテイクアウト需要の高い商材に挑戦することで事業を再構築し、地域に新たな活気をもたらす可能性があるという点です。私たち当事務所は、事業計画書の作成支援からオペレーション設計、プロモーション戦略の整理までを総合的にお手伝いしてきました。
当事務所は、これからも実務に即した情報発信を行いながら、中小企業・個人事業主の皆さまが抱えるさまざまな経営課題に寄り添ってまいります。