皆さま、こんにちは。 王子かわはし事務所の川橋です。
今回は、セーフティネット保証制度と危機関連保証制度について調べてみました。コロナウイルスによる影響で4号、5号認定を受けるってなに?危機関連保証ってなに?という質問が多くありまして、なんとなくわかっていたのですが、改めて調べ直してみました。
※2020/03/19現在です。状況は逐一変わると思うので、最新情報は所在の市区町村の窓口や融資を受ける予定の金融機関に確認してください。
セーフティネット保証・危機関連保証ってなに
条件に合致する中小企業の保証枠と保証割合を引き上げて、融資を促進する制度です。
セーフティネット保証は、「何らかの理由」で資金繰りに支障をきたしている中小企業が、市区町村から認定を受けることで、保証枠や保証割合の特例を受けることができる制度のことです。コロナウイルス感染症による影響を受けた中小企業は、4号、5号の認定を受けることになります。
また、危機関連保証とは、東日本大震災やリーマンショックといった危機時に、全国・全業種(ただし保証対象業種に限定)を対象として、信用保証協会が通常の保証限度額(2.8億円)及びセーフティネット保証の保証限度額(2.8億円)とは別枠(2.8億円)で借入債務の100%を保証する制度です。
保証枠・保証割合と融資との関係
保証枠・保証割合が大きいほど、融資を受けやすくなります。
保証枠とは、金融機関側から見ると借り手となる中小企業の融資を回収できなかった場合、信用保証協会が肩代わりしてくれる金額の上限のことです。また、保証割合とは、肩代わりしてもらえる割合のことです。
ちなみに、保証枠があるからといって枠いっぱいに借り入れができる、というわけではありません。あくまでも保証の上限額です。
そして、これらと融資との関係ですが、金融機関はあくまで営利団体なので、業績が悪化した企業への融資は回収リスクが高いと判断し、貸さないという意思決定になります。しかし、保証枠が大きく、保証割合が高くなると、未回収を肩代わりしてもらえることになり、金融機関はリスクが低くなるから貸せるという意思決定ができるようになります。
セーフティネット保証の対象事業者
ざっくり、前年比で売上が低下(4号は-20%、5号は-5%)していることです。
※コロナウイルス感染症の被害を受けている特定業種・地域が対象
セーフティネット保証を受けることができる理由ごとに、8つの分類がありますが、今回はコロナウイルスの影響を受けた中小企業が対象となる4号、5号について解説します。
4号:自然災害等の突発的災害(保証枠 最大2.8億/保証割合 100%)
突発的災害(自然災害等)の発生に起因して売上高等が減少している中小企業者を支援するための措置です。
以下の条件をすべて満たす中小企業が対象となります。
・指定地域内において、1年間以上継続して事業を行っている。
・指定を受けた災害等の発生に起因し、最近1か月間の売上高又は販売数量(建設業にあっては、完成工事高又は受注残高。以下「売上高等」という。)が前年同期比-20%以上である。
・その後2か月間を含む3か月間の売上高等が前年同期に比して20%以上減少する見込み。
指定案件については随時更新されます(こちらを参照)
5号:全国的に業況の悪化している業種(保証枠 最大2.8億/保証割合 80%)
(全国的に)業況の悪化している業種に属する中小企業者を支援するための措置です。
以下の条件をどちらかを満たす中小企業が対象となります。
(イ)指定業種に属する事業を行っており、最近3か月間の売上高等が前年同期比-5%以上である。
(ロ)指定業種に属する事業を行っており、製品等原価のうち20%を占める原油等の仕入価格が20%以上、上昇しているにもかかわらず、製品等価格に転嫁できていない。
指定業種については随時更新されます(こちらを参照)
危機関連保証の対象事業者
ざっくり、前年比で売上が15%低下していることです。
※中小企業信用保険法施行令で定める業種が対象
その名の通り、指定の危機の影響を受けた中小企業が対象となります。
今回は新型コロナウイルス感染症です。
対象事業者(保証枠 最大2.8億/保証割合 100%)
以下の事業者が対象となります。
・原則として、最近1か月間の売上高等が前年同月比で15%以上減少している
・その後2か月間を含む3か月間の売上高等が前年同期に比して15%以上減少する見込み。
認定基準の運用緩和について
創業者や、去年と業容が比較できない事業者も対象となり得ます。
前年実績の無い創業者や、前年以降店舗や業容拡大してきた事業者の方についても、新型コロナウイルス感染症の影響を受けている場合には、セーフティネット保証4号・5号及び危機関連保証が利用できるように認定基準の運用を緩和しています。
以下の条件のどれかの基準と比較して、セーフティネット保証4号は-20%以上、5号は-5%以上、危機関連保証は-15%以上の売上低下となっている方が対象です。
・最近1ヶ月の売上と最近1ヶ月を含む最近3ヶ月間の平均売上を比較
・最近1ヶ月の売上と令和元年12月の売上を比較
かつ
その後2ヶ月間(見込み)を含む3ヶ月の売上と令和元年12月の売上高等の3倍を比較
・最近1ヶ月の売上と令和元年10~12月の平均売上を比較
かつ
その後2ヶ月間(見込み)を含む3ヶ月の売上と令和元年10~12月の3ヶ月を比較
手続きについて
市区町村に設置された窓口で認定を受けることができます。
それなりに時間がかかるので、事前準備でスムーズに進めましょう。
1、売上低下を示す客観的事実の把握
まずは、売上が低下していることを客観的に証明することができる資料を揃えましょう。総勘定元帳でも、売上台帳でも構いません。
※なるべく、セーフティネット保証5号認定よりも保証割合の高い4号認定、危機関連保証を受けれるか確認しましょう。
※セーフティネット保証と危機関連保証は別物なので、申請はそれぞれ必要になります
2,窓口を調べて、申請書類を作る
次に、手続きする窓口は所在する市区町村ごとに異なるので調べましょう。
「市区町村 セーフティネット保証 窓口」などで検索するか、取引のある金融機関や税理士などの身近な専門家に聞いてみましょう。
そして、事前に申請用紙をダウンロードして、書類を作成しておきます。減少率など、わからない部分は空欄でもいいですが、なるべく記入しておくほうがいいでしょう。窓口は予約制の場合もあります。
(例:東京都中央区の窓口はこちら)
3,窓口で認定を受ける
実際に窓口に出向いて、担当者に状況を説明し、認定を受けます。
認定発行を受けるまでの期間等は市区町村ごとに異なります。
市区町村によっては、借入時の利子補給などもあります。
4,金融機関で融資を申し込む
認定を受けたら、書類を持って金融機関で融資の申込みを受けましょう。申込内容を金融機関と保証協会が審査し、可決された場合は融資を受けることができます。
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