みなさん、こんにちは。
2022年10月から最低賃金は変更となりましたが、物価高は経営にも影響しているかと感じます。このような中、政府では賃上げを要件に業務改善のための費用を助成する「業務改善助成金」という制度を設けています。今回は、業務改善助成金について取り上げたいと思います。
業務改善助成金とは?
中小企業・小規模事業者の生産性向上を支援し、事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)の引上げを図るための制度です。具体的には、事業場の最低賃金を一定額上げることを要件に、設備投資やコンサルティング費用の一部を助成する制度です。
詳細:業務改善助成金(厚生労働省HP)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/shienjigyou/03.html
対象となる事業者は?
1.事業場の規模が100人以下
2.事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が30円以内
<参考>
◎事業場…一般的に同じ場所にある職場のことを指します。例えば、東京本社と大阪オフィスがある場合は、2つの事業場となります。
◎地域別最低賃金は以下から確認できますhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/
※月給制をとっている場合、年間労働日数と所定労働時間から最低賃金を割り出します。
以下に算出例がありますので、参考にしてみてください。
厚生労働省東京労働局:https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/jirei_toukei/chingin_kanairoudou/toukei/saitei_chingin/gekkyuu.html
助成の要件
①賃金引上計画を策定すること
事業場内最低賃金を一定額以上引き上げる(就業規則等に規定)
②引上げ後の賃金額を支払うこと
③生産性向上に資する機器・設備やコンサルティングの導入、人材育成・教育訓練を実施することにより業務改善を行い、その費用を支払うこと。設備投資だけでなく、コンサルティング費用や人材育成費用や教育訓練費用も対象になります。
④解雇、賃金引下げ等の不交付事由がないこと など
どんな事に使えるの?
業務改善助成金では、「生産性を向上させる」ための取り組みに支給されます。
例えば、飲食店であればこれまでスタッフが行っていた作業を短縮するための設備投資として自動オーダーシステムや自動食器洗浄機等を導入することもできます。
小売業では経理業務を軽減するための設備投資として、会計Webサービスの導入、業務効率化のためのコンサルティング費用として活用することもできます。また、売上が大きく減少するなど一定の要件を満たした場合には、パソコンなどの購入経費も対象となります。
活用事例集は以下のリンクで確認する事ができます。
●製造業編
●卸売業・小売業編
●宿泊業・飲食サービス業編
●生活関連サービス業・娯楽業編
●医療・福祉編
●人材育成・教育訓練の活用事例
●コロナ禍における効果的な取り組み事例
助成金額
賃金の引き上げ額と賃金を引き上げる労働者数によって助成上限額が決まります。
(※1)10 人以上の上限額区分は、以下の 1 、2または3の いずれかに該当する事業場が対象となります。
1.賃金要件:事業場内最低賃金920円未満の事業場
2.生産量要件:売上高や生産量などの事業活動を示す指標の直近3ヶ月間の月平均値が前年、前々年又は3年前の同じ月に比べて、15%以上減少している事業者
3.原材料費の高騰など社会的・経済的環境の変化等の外的要因により 、申請前3か月間 の うち任意の1月の利益率(売上高総利益率又は売上高営業利益率)が3% ポイント以上低下している事業者
(※2)生産性要件とは…https://www.mhlw.go.jp/content/000759761.pdf
設備投資は承認が下りてから!ただし、賃上げは申請したあとであればいつでもOK!
ほかの補助金や助成金同様、助成金の対象となる設備投資やコンサルティング費用の契約・支出は承認が下りてからになります。ただし、賃上げについては申請をしたあとであれば大丈夫です。
補助金の加点とも合わせて活用しよう
各種補助金では、最低賃金を引き上げることで審査時に加点されたり、補助金額の上限がアップします。
事業再構築補助金 | 「最低賃金枠」において優先的に採択 |
ものづくり補助金 | 事業場内賃金を上げることで審査時の加点になる |
小規模事業者持続化補助金 | 補助上限額が50万円から200万円に拡充 |
補助金の申請に伴って最低賃金を引き上げる予定のある企業は、ぜひ業務改善助成金もあわせて活用しましょう。
いかがでしたでしょうか。当事務所は認定支援機関として登録しており、様々な経営支援サービスを提供しております。初回相談は無料ですので、ぜひお気軽にご相談ください。