補助金活用の留意点

皆さん、こんにちは。

王子かわはし事務所の川橋です。

現在、事業再構築補助金やものづくり補助金、小規模事業者持続化補助金など、多くの補助金において公募が始まりましたね。

当事務所においても、申請や事業計画策定に関するご相談を多くいただいております。

補助金は、原則として返済不要なお金であるため、経営資源の限られた中小企業にとっては、非常に魅力的ですが、一方で、補助金を活用するうえでの留意点やデメリットもあり、補助金をそもそも活用しない方が良いケースがあります。

では、順にみていきましょう。

1.スピード感ある事業展開には不向き

第一に、補助事業の実施は、原則として契約や発注は交付決定後になります。

スピーディーに事業に取り組みたい場合には向きません。

一般的に補助金申請の流れは、

申請→採択発表→交付申請→交付決定通知

となり、契約や発注は交付決定日以降に認められます※

※事業再構築補助金やサプライチェーン補助金などは、交付決定前に契約や支払いを認める「事前着手承認制度」がありますが、採択を約束するものではありません。

交付決定後に事業に取り組む場合、最適な投資のタイミングやビジネスチャンスを逃すといったリスクもあります。

申請を行ってから実際に事業を実行できるまでに時間がかかりますので、今すぐ取り組みたいという場合には、自己資金や金融機関からの借入による資金調達を検討しましょう。

また、補助金を効果的に活用するためには、長期経営計画の策定や計画的な設備投資を行っていくことも必要と言えるでしょう。

2.事務コストがかかる

補助金の申請には相応の準備が必要です。
電子申請のための準備や応募要件の確認、決算書など各種必要書類の準備、見積書の取得、事業計画書の作成、さらには補助金審査の加点のための経営革新計画の承認手続きなどがあります。

また、採択された後も、数年にわたる事業報告が必要になります。

もちろん支援機関に委託することで解決できる部分もありますが、事業者様自身で手を動かさなければいけない部分も多く、それなりの労力・手間がかかります。

無事に採択されても、その後の手続きを正しくできなかったことで、補助金が支払われなかったといったケースもよく聞きます。補助金申請にあたっては、事務作業に十分なリソースを割けるかどうかを十分に検討していきましょう。

3.補助金は後払い、資金繰りが厳しい状態で手を出すのはリスク

補助金は、補助事業の完了報告後に支払われ、補助金の支払いまでに1年以上かかるというケースもよくあります。

補助金が支払われるまでの期間は、自己資金や金融機関からの借入で賄わなければいけません。資金が十分でない状態で補助事業に取りくんだものの、事業が上手く軌道に乗らず、結果、資金ショートしてしまうといったケースも実際にあります。

補助金申請には、十分な資金を確保できる見通しを立てたうえで挑戦することが好ましいでしょう。

4.審査の結果、不採択となる場合がある

補助金の採択率はものにもよりますが、人気の補助金の場合、採択率30%代ということもよくあります。

補助金に申請した結果、不採択となることもあります。

補助金=お金が入ることが約束されるわけではありません。補助金が入るだろうから…と捕らぬ狸の皮算用はやめましょう。

ただし、専門家を上手く活用することで採択される可能性を高めることは可能です。

5.最後に…

補助金は、あくまでも手段であって目的ということを忘れてはいけません。

自社の経営計画を策定し、事業を遂行するうえで、その目的に合致するものがあれば活用を検討していくことが好ましいでしょう。

当事務所では、お客様ひとりひとりのニーズに応じて、事業計画の策定支援や補助金の活用を提案していきます。

初回相談は無料になりますので、お困りごとがございましたらぜひお気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

川橋 隆則

中小企業診断士 当事務所の代表を務めています

パティシエからスタートして、システムエンジニアとなり、その後に経営コンサルタントとなった
ちょっと変わった経歴の持ち主です。